健康診断Medical Checkup

心電図

心電図の所見

異常Q波

心電図波形のQ・R・S波は、上向きのR波と下向きのQ波、S波で成り立っていますが、Q波が著しく大きくなる場合を異常Q波といいます。心筋梗塞や心筋症など強い心筋障害によって見られます。

Ⅰ度房室ブロック

房室ブロックとは、心房から心室への電気の流れ(刺激伝導)に障害がある状態の事です。 Ⅰ度房室ブロックは、何らかの原因で心房-心室間の電気の流れに時間がかかっていますが、心室へ刺激は伝わっている状態です。ブロックの程度が悪化しなければ問題ありませんが、新しく生じた場合や極端な伝導時間の延長そして自覚症状がある場合などには注意が必要となります。

陰性T

心電図波形のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波をさしています。陰性T波とは、通常山型をしているT波が谷のようにへこんだ状態で、心筋梗塞、高血圧や心筋症による心肥大、脳内出血などでみられます。

右胸心

通常、左側にある心臓が右側にあり、左右対称に入れ替わっている状態の事です。左胸部につける導子を右胸部に付け替えて心電図記録を行います。

ST上昇

心電図波形のうちで、ST部分が通常より上がった状態をさします。心筋梗塞、心筋炎、ブルガダ症候

ST-T低下

心電図波形のうちで、ST部が通常より下がった状態をさします。心臓の筋肉の血液の流れが悪い場合(心筋虚血)や、心臓の筋肉が厚くなった状態(心肥大)などで起こりますが、病気でなくても見られることがあります。ST部分の傾きで、上行傾斜型、U字型、水平型、下降傾斜型等に分かれます。

完全右脚ブロック

右脚の電気の流れがブロックされた状態をさします。基礎疾患のない右脚ブロックは問題のない事が多く、電気の流れは左脚を通って伝わりますので右心の収縮には影響はありません。定期的に心電図検査を受けて下さい。狭心症、高血圧性心疾患などを合併し指摘された場合には、原疾患に対する治療が行われます。

完全左脚ブロック

左室内の左脚前枝・後枝2本ともにブロックされた状態をさし、広範な心筋障害を有している場合がありますので、医療機関を受診し精査を受けて下さい。新たに出現し胸痛を伴う場合には、急いで循環器専門医を受診して下さい。心エコー検査や心臓CT検査などの専門的な検査ならびに原因疾患の治療が必要な場合があります。

軸偏位

心臓の筋肉が働く時に流れる電流の方向を平均電気軸といいます。この軸が通常より右側(時計回転方向)に傾いていると右軸偏位、左側(反時計回転方向)に傾いていることを左軸偏位といいますが、軸偏位だけで病気という事ではなく、特に問題ありません。

上室性期外収縮

洞結節より早く別の場所で心臓の拍動が指令される場合を期外収縮といい、心房や房室接合部(上室)で発生した場合、上室性期外収縮といいます。緊張、興奮、ストレスなどで起こることもあります。動悸を感じたり、頻繁に起きる時は薬物で治療する場合もあります。

上室頻拍(発作性)

心臓の上室(心房や房室接合部)に余分な電気経路ができていて、その回路を使って伝導の空回りが急に起きるものをさします。頻脈になりますが、洞性頻脈と違って突発的に起きることが多く、薬物やカテーテルアブレーションなどの治療を要する場合もあります。

心室性期外収縮

本来、心臓の収縮が指令されない心室から、通常のリズムよりも早く発生した状態をさします。健康な人では興奮、喫煙、過労などでみられます。心臓疾患の方でみられた場合、危険な不整脈に移行する可能性を検査する必要があります。

心室性期外収縮

心房細動

心房内で洞結節とは異なる無秩序な電気信号が発生し、その興奮が不規則に心室に伝わる状態をさします。心房の中で血流が滞り血栓を作ることがある為、脳梗塞の予防も含めた治療が必要です。

心房粗動

心房が1分間に240回以上で規則的に収縮する状態をさします。心室へ伝わる数が多く頻脈となっている場合や心房の中に血栓ができて脳梗塞を起こす危険があるため、治療が必要となります。

高いT波

T波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波をさします。高いT波とは、通常はなだらかな山型をしているT波の高さが通常より高く尖鋭化することをいいます。高カリウム血症(腎不全など)や心筋梗塞の発症直後、僧帽弁狭窄症などでみられます。健常な若者でもみられることがあります。

WPW症候群

心房-心室間の電気が伝わる正常なルート以外に副伝導ルート(ケント束)が存在する為、心房心室伝導時間が短縮する事をさします。異常な伝導による頻拍発作がなく自覚症状もなければ問題ありません。頻拍発作の回数が多く日常生活に制限が生じる場合や失神などの重い症状を認める場合には、医療機関を受診し精密検査を受けて下さい。

低電位差

心電図のQRS波の高さ(振れ幅)が小さくなる所見をさします。心筋梗塞などで心臓の収縮力が弱った時、体内の水分貯留や肺気腫など肺に含まれる空気が増加した時、肥満などでみられます。

洞徐脈

心電図波形は正常で、心拍数が少ないものをさします。心臓に拍動を指令する部位(洞結節)の異常や甲状腺機能低下症のほか、健康な人でもスポーツをよく行っている人にみられます。

洞性不整脈

心臓の拍動のリズムは正常で、興奮の間隔が不整となる状態をさします。健康な人でもよくみられ、吸気時に心拍数が増加し、呼気時に心拍数が減少する呼吸性不整脈の一種です。

洞頻脈

心電図波形は正常で、心拍数が1分間に101回以上のものをさします。発熱、心不全、甲状腺機能亢進症などのほかに、健康な人でも不安・興奮・緊張などのストレス、アルコール摂取や運動で起こしやすくなります。

不完全右脚ブロック

右脚の電気の流れがわずかに障害されていますが、伝導時間は正常範囲内に保たれており、問題のない状態をさします。いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、RSR’パターンと同様に正常者でも認めることがあり問題ありません。

平低T

心電図波形のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波をさします。平低T波とは通常はなだらかな山型をしているT波が平坦になった状態で、心筋梗塞や左室肥大ではST部分の異常を伴ってみられます。健常女性や肥満でもみられることがあります。